#24-5. 特撮→活字、アニメ→コスプレ?

高橋:以前に伺ったお話で興味深かったのが、特撮ファンは活字に進み、アニメファンはコスプレに進むという御指摘だったのですが。

:そう、私と小谷さんがその典型で、私は実写が好きでアニメにはあまり関心がなかった。たとえばウルトラ・シリーズにはダダやシュールレアリスムに通ずるものがある。だからそちらの方に探求心が芽生えていくわけですね。

高橋:ああ、あの赤と青のマーブル模様が逆回しでタイトルバックになるちょっと怖いやつ。確かにサイケを経由してダダやシュールに繋がっていくのかも。

:私が55年生まれで小谷さんが58年生まれという世代差があるのかもしれませんが、CINEMA(実写)→活字人間→プログレというシナリオがあるとしたら、アニメ→ファンタジー→コスプレ(ゴスもしくはゴスプレ?)というシナリオも成り立つと思うんですよ。

高橋:はあ。私は半可通ながらもどちらにも魅力を感じ続けてきました。何故なんだろう(自問自答)。逆に言うとどっちつかずだから究められないのか…。

:とにかく小谷さんと知り合ったことで得るものは多かったですね。

高橋:お互いの知識や感覚を交換しあうことによって、「巽孝之」も「小谷真理」も、それぞれに異なったキマイラ状の知性体に進化したわけですね。

参加者:日本の怪獣映画などには破滅っぽいものが多くないですか?

:確かに破滅論と日本的メンタリティは相性がいい部分がありますね。さらにこれは指摘されて久しいことですが、「ゴジラ」は第二次世界大戦後の日本の経済成長を反映して生まれたものです。その破滅論、終末論的な精神が小松左京の『復活の日』や宮崎駿の『風の谷のナウシカ』に受け継がれている。

高橋:読んでいないのですが、『復活の日』というのは宇宙から謎の病原体がやってくるという…?

:細菌兵器ですね。サリンも出てきますし。

小谷:特殊なウイルスによって人類が絶滅しかける。それで残された人間が南極に逃れるんだけれども、助かったと思った時に、地震でミサイルの報復攻撃のスイッチが入ってしまう。そのひとつが南極にむいているってんで、みんなおおあわて。「人類は二度死ぬ」なんて宣言が出る。で、南極から潜水艦でスイッチを切りに行くんです。でもね、間に合わないの(笑)。そのミサイルは中性子爆弾だったから、ウイルスの変異体か出来て、地球からウイルスがなくなってしまう。結局それでウイルスが除去されて、人類は復活にむかって歩むわけ。スタンリー・キューブリックの世界終末映画『博士の異常な愛情』ともシンクロする1964年に発表されていて、今読むと物凄くコワイものがありますよ。

高橋:ほう、(非常に読みたくなっている。)

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