#24-4. "おたく"という精神特性
高橋:SFから派生した「おたく」とはどういったものだとお考えですか?
巽:おたくはねえ、とにかくモノを集めるんですよ。例えば『SFマガジン』をコンプリートで持っているかということに己がプライドを託していたりして。
高橋:それは中身も全部読破しているということですか?
巽:必ずしもそうとは限らない(笑)。持っていること自体に価値を見出しているわけだから。そして絶えず人にツッコミを入れる、揚げ足をとる。それが彼らの快楽なんです。
小谷:おたくの人は親切ですよ、色々教えてくれて。もう無償で情報を提供してくれる。
巽:おたくの特性は「自分がハマっているものは他の人も好きになるはずだ」という発想をすることですね。でも電話で1時間喋って、使える情報は5分だったりする。シオドア・スタージョンの法則というのがあってね、SFの90%はクズだという。でも残りの10%が非常に貴重だったりするからそこは忍耐のしどころです(笑)。
小谷:(巽氏に向かって)私はむかし、あなたの作っていた同人誌の感想文を求められたわよ。
巽:(思わぬ暴露話に慌てる)えっ、そうだったっけ?
小谷:そう。それ読んで「あなた、わりとまともな文章書けるんですね」って言われた(笑)。
巽:憶えてないなあ。
高橋:(巽氏が焦るのを初めて目撃したので内心ウケている)