#34 バンクーバー森林浴

バンクーバー森林浴――「日本における翻訳と近代」シンポジウム報告―― 巽 孝之 コロナ・ウィルスの蔓延により、 2020年 2月下旬以降から 4月までの射程で、様々な学会や会議、ワークショップの類が中止または延期となった。本塾にてスーパーグローバル・プロ…

#33 地中海に捧ぐ

地中海に捧ぐ――第二回スペイン・ポー学会国際会議記録―― 巽 孝之 2月 3日(月曜日)午後 3時より、慶應義塾大学アメリカ学会企画として、宇沢美子氏の仕込みによる「アメリカン・マンフッド」パネル@北館第 2会議室。パネリストとしてフィリップス・アカデミ…

#32 小泉八雲と SF的想像力

公開対談 小泉凡 VS 巽孝之 小泉八雲と SF的想像力 ――ジャポニズム、モダニズム、ポストコロニアリズム――司会(尾山ノルマ):お待たせいたしました。ただいまより、公開対談・小泉八雲と SF的想像力、小泉凡VS巽孝之を始めます。巽:今回は鬼太郎空港でも有…

#31 ハーマン・メルヴィルを語りたおす!

ハーマン・ メルヴィルを語りたおす! CONTENTS 0. はじめに 1. 第 10回国際ハーマン・メルヴィル会議について 2. 日本におけるメルヴィル研究 3. ジョン万次郎とハーマン・メルヴィル 4. 日系アメリカ人作家カレン・テイ・ヤマシタについて 5. クレイジーな…

#30 グラウンド・ゼロでお茶を

グラウンド・ゼロでお茶を――九州講演旅行記 *編集部注:トルコライス店つる茶んtext by Takayuki Tatsumi 2013年5月 2週目の週末は、四泊五日にわたる九州講演旅行となった。以下にざっとその概略を記すとーー5月 9日(木曜日)朝10時半羽田発ANA249で飛ぶ…

#29 高い城のディック

高い城のディック ――シアトルからデュッセルドルフへ text by Takayuki Tatsumi 昨年 2012年後半には 8月に北米のシカゴ、 10月にシアトル、 11月にドイツはデュッセルドルフと三回も海外出張が連続した。シカゴの会議については商業誌に書く機会もあったし…

#28-3 [特別編] スタンフォード便り

大学のPCシステム移行期にあたりCPA Monthlyの更新が長い間できずにいましたことを皆様にお詫び申し上げます。大変長らくお待たせしました!巽先生の2009年サバティカル・イヤー講演旅行記続編です![編集部記] スタンフォード便り―2009年8月〜9月― シリコン…

#28-2 [特別編] デジタル・トランスパシフィック! 

大学のPCシステム移行期にあたりCPA Monthlyの更新が長い間できずにいましたことを皆様にお詫び申し上げます。大変長らくお待たせしました!巽先生の2009年サバティカル・イヤー講演旅行記続編です![編集部記] デジタル・トランスパシフィック!―台北&シド…

#28-1 [特別編] ニューイングランド講演旅行

サバティカルを得てアメリカ講演旅行中の巽先生から旅行記が届きました。怒濤のレクチャー・サーキットをご本人の報告にてお楽しみください。[編集部記] 0.ボストン到着2009年4月 20日(月曜日) ユナイテッド空港 882便で成田を午後4時 55分発、シカゴ乗り…

#27-2. [特別編] 『アヴァン・ポップ増補新版』講演旅行報告

2007年6月下旬、サンディエゴ州立大学教授ラリイ・マキャフリイとシンダ・グレゴリイが行った日本への講演旅行。『アヴァン・ポップ 増補新版』(北星堂)の刊行を記念して行われたこのレクチャーサーキット特集の後編は、アヴァン・ポップ・プラス・ツアー…

#27-1. [特別編] “アヴァン・ポップ・プラス” ツアー開催報告

2007年6月19日から24日まで約一週間にわたり、サンディエゴ州立大学教授ラリイ・マキャフリイとシンダ・グレゴリイが行ったアヴァン・ポップ・プラス・ツアー The Avant-Pop Plus Tour。『アヴァン・ポップ 増補新版』(北星堂)の刊行を記念して行われたこ…

#26-1.まずは2006年度カレンダーより

巽孝之 前回の第25回が昨年2006年の1月ですから、こんどは1年半ちかく放置してしまいました。この間、CPA Monthlyを再開する再開する、とくりかえしBBSでも公言しながらなかなか出来なくて、まるっきりオオカミ少年状態。わたし自身はヒツジ年、なんですけど…

#26-3.センス・オヴ・ジェンダー賞、ティプトリー賞

小谷 それでこの日は、シンポジウムの打ち上げをやってから、SFセミナー合宿企画へも移動したんです。 まずは恒例「センス・オブ・ジェンダー賞候補作の合評会(11:00-0:30)。 とりあえず、リストにあがってた小説の項目だけだけはクリア。この企画をやりはじ…

#26-2.紀伊國屋書店シンポジウム「人類にとって文学とは何か?」

巽 いやはやごくろうさま! でも、これだけ一気にまとめてもらわないと、次に進めないからねぇ。それで、最新の話題としては、CPAでも宣伝してもらった4月29日(日曜日)の岩波書店『文学』編集部の協賛による紀伊國屋書店創業80年記念シンポジウム 「人類に…

#25-4.歳末シンポジウム2: 「人造美女は可能か?」

巽: わたしのほうは、ちょうどそれから一週間後の12月16日(金)、三田キャンパス北館ホールで行われた慶應義塾大学藝文学会シンポジウム「人造美女は可能か?」に関わりました。最初は、来る3月に定年退職されるマラルメ学者で『マラルメ──書物と山高帽』…

#25-3. 歳末シンポジウム1: 「日本文学を読みなおす、女性作家の視点から」

巽:それでは、記憶が定かなうちに、いちばん最近、昨年末にわれわれが関わったシンポジウムに限って、報告しておきましょうか。 まず、小谷さんは自ら委員長を務める日本ペンクラブ女性作家委員会のシンポジウム「日本文学を読みなおす、女性作家の視点から…

#25-2. 『ナルニア国ものがたり』を観る!

小谷:オックスフォードはトルキーンやルイスなど、文学愛好会インクリングズの生息地だったので、そのあたりにも詳しいトニーがひとつひとつ文学史的解説を加えながら歩いてくれたのは、とてもうれしかったですね。とくにルイスのいたモードリン・カレッジ…

#25-1. 2005年度総括

巽孝之:2005 年はとうとうわたしも半世紀生きたことになり、映画館での夫婦50割引が実現しました。そのほかにも昨年はあまりにいろんな出来事がありすぎて、この CPA Monthlyも実質的な更新といったら、新年の沖縄出張とあかねイベントのレポートだけ、かれ…

#24-8. SFが何回も終わるのは終わらないからである

高橋:商業誌におけるSFの歴史について教えていただけますか?巽:早川書房の『SFマガジン』は1959年の暮れが創刊で、公式には1960年2月号ですけど、そのあとどんどん発展して、70年代後半にはSF専門誌が半ダースはひしめいていましたね。『SFマガジン』の他…

#24-7. 女性状SF

高橋:小谷さんも同人誌を出されていたのですよね。小谷:ええ、出していました。『ローラリアス』というファンタジーとヒロイック・ファンタジー中心の雑誌で78年創刊です。私は副会長をやっていました。『SFマガジン』に広告を載せたこともありますし、87…

#24-6. アマチュアリズムとプログレ

高橋:ここでちょっと「あかね」のことも絡めつつお話を進めて頂きたいのですが、個人的な話になりますけれども、私は未だにケータイもパソコンも持っていないという超ローテク人間でして。だからこそ人と人とのじかの交流を大切にする「あかね」という場所…

#24-5. 特撮→活字、アニメ→コスプレ?

高橋:以前に伺ったお話で興味深かったのが、特撮ファンは活字に進み、アニメファンはコスプレに進むという御指摘だったのですが。巽:そう、私と小谷さんがその典型で、私は実写が好きでアニメにはあまり関心がなかった。たとえばウルトラ・シリーズにはダ…

#24-4. "おたく"という精神特性

高橋:SFから派生した「おたく」とはどういったものだとお考えですか?巽:おたくはねえ、とにかくモノを集めるんですよ。例えば『SFマガジン』をコンプリートで持っているかということに己がプライドを託していたりして。高橋:それは中身も全部読破してい…

#24-3. SFは様々なものの名付け親である

高橋:そもそもSFがまだ広く世に受け入れられていない時に、それならば自分達で“場”をつくろうとしたのがSF同人誌の始まりと考えていいのですよね。手前味噌ですが、「あかね」も、お仕着せでない交流の場がないならば自前でつくろうという精神でやっている…

#24-2. 日本初のコスプレイヤー

高橋:コスプレの話がでてきたところで、小谷さんにお聞きしたいのですが、小谷さんは日本初のコスプレイヤーだとか? 小谷真理:自分で言ってるだけなんですけどね(笑)。1978年、芦の湖で行われた日本SF大会アシノコンでやったのが、日本SF大会史上における…

#24-1. おたくとバーのママ?

巽孝之:今日初めて「あかね」に来ましたが、このお店を実質上取り仕切っている詩人の究極Q太郎さんとは面識がありませんが、「だめ連」の方々とは数年前に接触があったのですよ。あれは1998年頃ですか、小谷さんが池袋のジュンク堂で「だめ連」と対談した…

#24 [特別編]あかねイベントレポート

CPA Monthly第24回は特別版として、2005年3月3日に行われた巽孝之・小谷真理トークショーのイベントレポートをお届けします。今回イベントの企画・司会を担当されたのは、本塾英米文学専攻卒で現在「あかね」のスタッフを務める高橋敦氏。巽先生とは実に15年…

#23-4. オキナワはいつも真夏

巽 元旦に帰国したら、膨大な卒論チェックが待っていました。今年は卒業予定者が4年生、5年生合わせて12名いるんで、ほんとうに時間がかかりましたよ。そのこともあって、以前より琉球大学ではアメリカ研究センター長を務められている山里勝巳先生から依頼さ…

#23-3.フィラデルフィアの冬

小谷 それで年末はいつもどおりMLA(Modern Language Association)の年次大会で、今年はフィラデルフィアでしたけど、意外に楽しかったですね。寒いし、忙しかったし、前回一回行ってるしで、わりに冷静に臨んだんですけど。 まず、到着したのが12月25日(…

#23-2. アトランタの秋

小谷 それにしても、教授だって11月には、北米のアメリカ学会年次大会でとつぜんアトランタ出張が入ったんでしたよね。『風と共に去りぬ』観光もできないくらい、会議漬けだったとか。巽 そうそう、一昨年のあのころは、国際ペン大会でメキシコ行ってたわけ…