#24-6. アマチュアリズムとプログレ

高橋:ここでちょっと「あかね」のことも絡めつつお話を進めて頂きたいのですが、個人的な話になりますけれども、私は未だにケータイもパソコンも持っていないという超ローテク人間でして。だからこそ人と人とのじかの交流を大切にする「あかね」という場所に親近感を覚えるんですよ。

:デジタル文明がこれだけ発達した現在、あえてアナログな視点を持つのも意味があることですね。大体、アマチュアリズムというのはアナログな文化なんです。今、渋谷シネマソサエティでやっているドキュメンタリー映画モーグ』とともにロバート・モーグ博士の発明したモーグシンセサイザーが再評価されていますが、それはデジタル文化がピークを超えたからこそアナログ文化の華として再認識されているわけで、いわば古楽器の再生にも似ていますね。モーグ博士本人が手づくりの電子楽器を愛していたわけだし。さらにモーグ博士の原点を遡るとテルミンという、自分の肉体(両手)を動かすことのみで演奏する電子楽器にたどりつく。

高橋:ああ、テルミンの映画、見ました。あの楽器はとても魅力的で、是非挑戦したいという野望(笑)をかきたてられました。

プログレというのはあの辺に源流がある。だから一見クールなように見えても、人間が肉体を使って、脳の汗をかきながらつくる音楽なんですよ。映画『バッファロー'66』のヴィンセント・ギャロプログレ・ファンですね。映画の中にキング・クリムゾンやイエスの音楽が平気で、しかもとんでもない映像との抱き合わせで出てくる。彼も手書き大好きでしょ。そこから思考を辿ってもらえば、怪獣ファンはプログレ・ファンということも理解してもらえるんじゃないかな。

高橋:怪獣の中に入って闘うって、体力がいるどころの話じゃないですものね(笑)、滝のような汗を流して。とすると、消費することでしか自己を表現できない現代において、徒手空拳のまま表現者たらんとする「あかね」のスタッフは怪獣なんですかね。私としては、あっちこっちで怪獣が出現し始めたら、世の中もう少し面白くなると思います。